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動脈硬化が首の血管に起こったら…脳梗塞(頚動脈狭窄症)

頸動脈狭窄症について

頸動脈の役割

頸動脈

脳に血液を運ぶための重要な交通路

私たちのからだは、血液から必要な酸素や栄養素などを取り込むことによって、元気に活動することができます。
その血液を運ぶための交通路として、大切な役割を担っているのが血管です。喉の両側にある2本の頸動脈は主要な血管の一つで、内頸動脈と外頸動脈に分かれています。内頸動脈は大脳へ、外頸動脈は顔へと血液を運んでいます。

頸動脈と脳梗塞の関係

狭くなったり詰まったりすると脳梗塞の原因に

頸動脈の血管にコレステロールなどがたまり、動脈硬化によって血管が狭くなった状態を「頸動脈狭窄症」、詰まった状態を「頸動脈閉塞症」と呼んでいます。
頸動脈狭窄症や頸動脈閉塞症になると、脳梗塞(アテローム血栓性梗塞)を発症する危険性が高まります。

セルフチェック

頸動脈狭窄症にかかりやすいかどうかをチェック!

この病気が怖いのは全く症状が出ない人も4人に1人くらいの割合でみられることです。
ここに挙げた項目は、「頸動脈狭窄症」の危険因子といわれるものです。これらの因子を持っていると、それだけリスクも高まります。下記の項目にあてはまる人は、危険因子を一つでも減らすことを心がけるとともに、専門医(循環器内科医など)に相談して頸動脈の状態を確認しておきたいものです。


2個以上ある場合は専門医に相談しましょう
 中高年男性である
 高血圧症にかかっている
 糖尿病にかかっている
 高脂血症にかかっている
 毎日お酒を飲んでいる
 タバコを吸っている

脳梗塞の前触れ 黄色信号を見逃さない!

頸動脈が狭くなった状態でも、脳梗塞を発症する前に前触れのような症状が起こることがあります。
この黄色信号を見逃さないことが何よりも重要です。
下記のチェックリストに挙げた症状が一つでも現れたら、すみやかにかかりつけの医師に相談しましょう。


1つもしくは複数の書状があり、数分後に消える場合は、専門医に相談しましょう
 ろれつが回らない
 片側の手や足に力が入らない
 半身にしびれがある
 左右どちらの目で見ても真ん中から
半分の視野がかける(半盲)

頸動脈狭窄症の検査と診断

CT、脳血管造影などの画像診断で狭窄の状態を確認
「頸動脈狭窄症」の検査と診断は、以下のポイントのもとに進められていきます。

STEP1
■頸部エコー検査(狭窄があるかないかを調べます)

頸部にエコーを当てる検査で、いちばん簡単な方法です。
この検査では頸動脈に狭窄があるかないかを調べます。
痛みもなく、検査も短時間でできます。

STEP2 ■CT検査(狭窄の状態を調べます)

頸動脈に狭窄が見つかれば、次にどれくらい狭くなっているのかを確認する検査が行われます。

STEP3 ■脳血管造影(高度狭窄の場合によく行われます)

足の血管からカテーテルを頸動脈まで入れ、造影剤を注入して血管の写真を撮ります。
詳細なプラークの形、正確な狭窄率などが分かります。

頸動脈狭窄症の治療

内科療法 ・抗血小板療法 (血栓を作りにくくする薬を服用)
・合併症の治療 (高血圧症、糖尿病、高脂血症 )の治療
・生活習慣の改善 (禁煙、お酒や塩分を控えるなど)
血管内治療 ・ステント留置術
足のつけ根の血管からカテーテルという細い管を頸動脈まで通し、狭くなっている部分に風船(バルーン)を入れて拡げ、金属の網状の筒(ステント)を留置する方法です。全身麻酔の必要はありません。
治療時間は1時間ほどで終了します。入院期間は約2 ~ 3日間です。

ステント留置術Q&A

Q : ステントは皮膚の上から押してもつぶれませんか?
A : 頸動脈に留置するステントは、外から押されても元の形を復元できるような素材で作られているため、その心配はありません。
Q : 体内に入れたステントがさびつくことはありますか?
A : ステントに使用される金属はニチノール(チタンとニッケルの合金)です。
体内でさびついたり腐ったりすることはありません。

術後の合併症

脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を起こす可能性がある

外科療法・血管内治療いずれも術中・術後に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を起こす可能性があります。
その頻度は以下の通りです。

脳梗塞 発症率 / 3.5% ※JCAS研究より
脳出血 発症率 / 0.6%  ※J.Neurosurgery 2007:1030-1036
心筋梗塞 発症率 / 7.2%  ※Sapphire Trial Dataより

最新の血管内治療

合併症のリスクを減らすフィルターデバイス

頸動脈用ステント、および、術中に脳へ血栓が飛んでいくリスクを減らすフィルターデバイスが、保険適用となりました。
フィルターの傘(画像参照)を開いてから、バルーンやステントによる血管内治療を行います。治療時にプラークの破片が剥がれても、フィルターの傘にひっかかりキャッチするため、脳まで飛んでいきません。
これにより、より安全にカテーテル治療が可能となりました。

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